社内SEとは客先常駐ではなく、自社内で働くエンジニアのことです。企業に所属しているため、安定して働きやすいといわれており、社内SEを目指す方も多いのではないでしょうか。
今回は社内SEの中でも、IT部門(情報システム部門)に所属するシステムエンジニアの平均年収について紹介していきます。年齢別の平均年収や、社内SEとしてどうやって年収を上げるのかを詳しく解説します。社内SEの転職を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
社内SEの仕事内容
社内SEの仕事内容は幅広くありますが、企業によって社内SEが担当する業務内容が異なります。代表的な社内SEの仕事内容は次のとおりです。
- 基盤システム管理
- 社内システムの導入・開発・運用・管理
- 社内インフラの管理
- セキュリティ管理
- ヘルプデスク
システム開発の際、自社で対応が難しいケースでは、他のITベンダーに依頼し、社内SEがベンダーの進捗管理など調整業務をします。社内ではIT関連の何でも屋さんの位置付けでもあるので、ヘルプデスクとして社員のサポートもします。そのため、さまざまな場面で人に関わることが多いので、コミュニケーション能力も必要な仕事です。
社内SEの仕事内容や常駐SEとの違いなどについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
関連リンク:社内SEとは?仕事内容と常駐SEとの違いを紹介
社内SEの平均年収

運用・管理・ヘルプデスク・セキュリティエキスパートの社内SEの平均年収は534.6万円です。基盤システム(主にシステムの設計に従事する)の社内SEの平均年収は660万円です。(※1) 日本人の平均年収は443万円(※2)なので、社内SEは比較的よい年収だといえます。
社内SEの仕事は主に、システムの運用と管理です。しかし高度な知識とスキルが必要なシステムの設計に関われるポジションでは、年収が高くなる傾向にあります。
※1出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
※2出典:令和3年分民間給与実態統計調査(国税庁)
社内SEの年齢別の平均年収

基盤システム(主にシステムの設計)の上流工程と、それ以外の運用・管理・ヘルプデスク・セキュリティエキスパートの2つに分けて年齢別の平均年収を紹介します。
20代の社内SEの平均年収
年齢/職種 | 運用・管理/ヘルプデスク/セキュリティエキスパート | 基盤システム (主にシステム設計) |
25〜24歳 | 319万円 | 360万円 |
25〜29歳 | 399万円 | 511万円 |
※出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
経験の浅い20代前半は年収が低く、経験を積んだ20代後半から徐々に年収が上がります。未経験で社内SEへ転職する場合も20代の年収と同じく低めの金額からスタートし、経験を積んで徐々に年収は上がります。
30代の社内SEの平均年収
年齢/職種 | 運用・管理/ヘルプデスク/セキュリティエキスパート | 基盤システム (主にシステム設計) |
30〜34歳 | 469万円 | 648万円 |
35〜39歳 | 543万円 | 770万円 |
※出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
30代前半の平均年収は、日本の平均年収443万円を上回ります。経験やスキルを積んだ30代からは、チームリーダーなどのマネジメントが必要なポジションへ就く人が増えることも、年収が上がる要因といえます。
40代の社内SEの平均年収
年齢/職種 | 運用・管理/ヘルプデスク/セキュリティエキスパート | 基盤システム (主にシステム設計) |
40〜44歳 | 648万円 | 864万円 |
45〜49歳 | 636万円 | 865万円 |
※出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
社内SEの年収は他のSEよりも低い?

システムエンジニア(業務用システム)の平均年収は550万円(※)です。主に運用・管理を担当する社内SEの方が、年収は少し低くなります。しかし社内SEでも高い年収のポジションは数多くあり、決して社内SEの市場価値が低いわけではありません。 なぜ社内SEの方が他のSEよりも年収が低いといわれるのでしょうか。それには3つの理由があります。
※出典:job tag(厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET))
高い専門性を必要としない
社内SEの仕事は企業によって異なりますが、主に社内システムの運用と管理、ヘルプデスクを担当します。システム開発ではなく会社のシステムを運用・管理するだけであれば、一通り業務を覚えた後は必要以上の深い技術や知識は必要ないことが多いです。マニュアル通り進めていく仕事が多いので、専門性が少ないといえるでしょう。
システム開発の際は、上流工程を自社で担い、実際のシステム構築は外注するケースがほとんどです。そのため高いコミュニケーション能力は必要ですが、システム構築に関わるスキルはあまり必要ないため、その分年収が他のSEと比較して低い傾向にあります。
しかしシステムの企画や開発、IT戦略を行う場合は、高い専門性やスキルが必要です。このポジションで仕事をする場合は、スキルに応じて年収も高くなるでしょう。
会社の利益に直結する仕事ではない
社内SEの役割は主にシステムの運用や管理となり、企業の売上に貢献しにくいことも年収が上がりにくい原因の一つといえます。企業では利益を上げる部門が重要視されます。
例えば営業職では、多くの商品やサービスを販売・契約して売上を上げることや、SIerではプロジェクトの利益率など、企業の利益と直結するわかりやすい数値があります。このように企業の利益の拡大に貢献する場合、高く評価され年収の増加も考えられます。
しかし、社内SEは業務改善や生産性向上などの仕事がメインで、利益への貢献が見えにくいのです。社内システムの大幅な改善で企業の売上に貢献するケースもありますが、ほとんどは縁の下の力持ちとして、IT関連のサポート役が多くなるでしょう。 社内SEは企業のシステム関連を円滑に運営するため、とても大切な存在ですが、高く評価されるケースは少なく、評価は平均的で年収が大幅に増加するケースは少ないといえるでしょう。
所属する会社によって年収は左右される
社内SEが他のSEよりも年収が低くなることは、働く企業によって大きく左右されます。IT業界は比較的、他業種より若いうちから年収が高い傾向にあります(※)。そのため、IT関連以外の企業で働くと、その会社の年収がベースになるので、SIerから転職する場合、低く感じることも考えられます。
システムの運用と管理が中心の社内SEは、残業が少ないことも年収が少ないといわれる要因です。企業によっては、自社でシステム開発する場合、残業が必要になることもあります。しかし開発を外注している場合や、システムの維持と管理のみの場合は、残業する必要がないことが多いです。
また、IT部門を重要視していない企業では、社内SEをコスト要因だと考えているケースもあります。システムエンジニアは一般的にはITスキルという専門技術を保有しているとして年収が高い傾向にありますが、そういった企業ではスキルを適切に評価してもらえないこともあります。また社内SEの企業への貢献度は数値として見えないため、評価が難しく企業が負担に感じてしまうケースもあるようです。その場合は長く勤めても、年収の大幅な増加は見込めないでしょう。
※参考:令和3年賃金構造基本統計調査の概況 (厚生労働省)
社内SEとしての年収を上げるためには

社内SEの年収を上げるために、スキルアップは必須です。所属する会社の規模や業績によって年収は左右されるので、転職も視野に入れるとよいでしょう。社内SEとして年収を上げるための4つのポイントを紹介します。
スキルを身につける
現状のスキルに満足するのではなく、技術を探求し続ける姿勢が大切です。スキルが身につけば、より高度な仕事にチャレンジできる可能性が広がるでしょう。
主に、ITベンダーとの調整や運用・管理の仕事をしている場合は、システム開発のスキルは身につきません。実務以外で、スキルアップのために未経験技術の習得や、需要が高いスキルを習得しましょう。最近では、AIやセキュリティ、データサイエンスなどの技術は、需要が高いといわれています。
スキルや知識を身につけて、基盤システム管理やシステムの企画、IT戦略などに携われるポジションへの異動を目指しましょう。上流工程に携わることは、自分のキャリアアップにおいてとても大切な経験です。また年収アップも見込めるでしょう。
資格を取得する
社内SEとして年収を上げるために、資格の取得もおすすめです。社内SEは資格の保持は必須ではありません。しかし、資格を保持すると客観的に自分の技術を証明できます。また資格の試験は、基礎的な内容から実務的な内容まで幅広い知識を求められます。そのため試験の学習を通して、体系的に知識を習得できることも、大きなメリットといえるでしょう。
社内SEの仕事に役立つ資格は多くあります。現在の仕事内容とキャリアパスを考慮して、自分に必要な資格の取得を目指しましょう。代表的な資格は次のとおりです。
- 基礎技術系の資格:基本情報技術者試験、応用情報技術者試験
- 特定領域技術系の資格:データベーススペシャリスト試験、ネットワークスペシャリスト試験、システムアーキテクト試験
- マネジメント系の資格:プロジェクトマネージャー試験、PMP(プロジェクトマネジメント プロフェッショナル)
- IT戦略系の資格:ITストラテジスト試験、中小企業診断士試験
上流工程を担う部門への配属と昇進
基盤システム管理や社内システムの企画・開発などの上流工程に携わる部門へ配属されると、年収が増加する傾向にあります。しかし、上流工程に携わる部門は人気があり、配属は簡単ではありません。高度なITスキルや知識、経験、所属する企業の業種の専門的知識などが求められます。また、管理職へ昇進すると年収が上がります。高いITスキルや知識はもちろんのこと、マネジメント能力やコミュニケーション能力が問われます。
所属する企業によっては、システムの運用・保守のみで、システム開発を自社で行わないケースも多く見られます。働く企業を選ぶときは、担当できる仕事の範囲をきちんと確かめて選びましょう。
年収の高い企業へ転職する
年収を上げるために、大手企業など平均年収が高い企業への転職も有効です。どんな優れた技術を持っていても、企業の規模が小さい場合や業績不振の企業、IT関連をコスト要因と考えている企業に属していては、年収アップは難しいでしょう。しかし大手企業は人気があり、ライバルが多くいるため、難易度が高く簡単ではありません。業績のよいベンチャー企業など成長性の高い企業も選択肢に入れるとよいでしょう。
転職で年収アップを成功させるには、企業選びはとても大切です。そのためには、IT業界に精通している転職エージェントを通して転職しましょう。企業は効率よく、希望する人材を見つけるために、転職エージェントを通して求人を出しています。好条件の求人は転職エージェントで非公開に募集されることも。転職エージェントで自分の求める条件に合った企業を選んで、年収をアップさせましょう。
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特に社内SE(情報システム部門)は昨今注目されているDX推進の主役としての立ち位置です。経営戦略の中でIT投資を積極的に進める企業が増え、年々重要性を増す職種になってきています。一言でDXといっても企業によって取り組みやフェーズが変わってきますので、あなたの経験であればどういった情報システム部門に所属すべきかなどアドバイザーに相談してみましょう。
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まとめ

社内SEは上流工程に携わる部門と、運用・管理をメインとしている部門では年収に差があります。また、所属する企業によって担当する仕事内容や、待遇が変わります。
社内SEとして年収を上げたいと考えている方は、転職はとても有効です。しかし企業選びを誤ると、結局年収が変わらないこともあります。転職を考えている方は、ITに精通した転職エージェントに相談して、企業の情報をしっかり聞くことをおすすめします。